平成29年11月 海徳寺 寺報

依法不依人

法華経は最も信じ難く理解し難いお経。それはこの経には有限な凡夫の知恵で無限なる仏の心をつかもうとする挑戦が説かれているからです。混迷する現代の指針はすなわちその法華経。

しかし、人々はこの挑戦を避けて目先の安易な教えに付こうとします。それが返って過ちとなることに気付いていないと聖人は嘆かれます。

体が曲がれば当然影も曲がるが如く、教えという本体が曲がれば人々も曲がった方向に導かれて行くことに警鐘を鳴らされたのがこの一節です。

出典:日蓮宗新聞社発行『今月の聖語』

南無妙法蓮華経のお題目には、独特の「髭題目」と呼ばれる書き方があることをご存知の方も多いと思います。筆端が髭のように伸びているお題目が髭題目です。これは「光明点の筆法」と呼ばれ、お題目の光明が全てのものを包み込むことを表します。

では、お題目の七字の中で、一文字だけ、他とは異なる筆端があるのですが、そのことにお気づきの方はいるでしょうか?

その異なる文字とは、「法」です。

なぜ「法」の一字のみ筆端が異なるのでしょうか。

その理由は、「法」というお釈迦様の教えは曲げる事ができない。だからこそ、「法」の一字のみが筆端を変化させることなく、通常の書き方であるのだと幼少の頃より伝え聞いています。

日蓮聖人は「依法不依人」、すなわち「法に依って人に依らざれ」という涅槃経の一節を規範として、一切経の中より、法華経こそがお釈迦様の本懐であると判断されました。そして、末法の時代の我々を救う良薬がお題目であることをお説きになりました。

先日の選挙において、党の合流云々ということが話題となり、政治家の方が自身の政策ではなく、人に依って行動しているような傾向を強く感じました。幾多の法難に直面しながらも、「依法不依人」を規範として毅然として立ち向かわれた日蓮聖人の御生涯を、政治家の方にこそ是非とも知っていただきたいと思いました。

海徳寺住職 加藤智章

 

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