本当の生き方
日蓮聖人の佐渡流罪中、千日尼は、夫の阿仏坊とともに聖人の教えに入信し、その生活を夫婦で支えました。
この書は千日尼からの供養の品への御礼と、女性の悩みの質問に答えた長文のお手紙です。
女性の成仏を中心に説かれた書ですが、聖人自身の信仰のあり方や、仏教について詳しく示されています。男女を問わず、人のあるべき姿について明らかにされた感動の書です。
出典:日蓮宗新聞社発行『今月の聖語』
敗戦後の日本、物も無く、食料にも困窮した時代がありましたが、いつの頃からか日本も世界を牽引していく経済大国となり、今や、日本の円が世界の三大基軸通貨となっております。経済的にも文化的にもどこの国よりも発展し恵まれた日本、今や生活するうえで何一つ困ることなく、お金さえ有ればたいていの物が揃う世の中になってまいりました。また、医療制度・衣食住、何をとっても不自由することのない現代でありますが、「世界幸福度ランキング」では百五十六ヵ国中、六十二位と先進諸国の中では非常に低い結果に終わっております。
その要因の一つは、自由度の低さだそうであります。私達は知らず知らずのうちに背伸びをした生活を支え維持しようとして懸命に踏ん張り、経済社会に縛られ自分自身の本来の生き方を見失ってはいないでしょうか。
『妙法蓮華経・普賢菩薩勧發品』の文言の中に「少欲知足にして能く普賢の行を修めん」とあります。普賢菩薩は慈悲の菩薩とも言われております。そしてこの慈悲とは「他の生命に対して楽を与え、苦を取り除くことを望む心の働きと説かれております」
今、コロナ禍によって世界は大きく変わろうとしております。経済の疲弊は将来への大きな不安となって一人一人にのしかかってくることと思いますが、こんな時だからこそ、本当に何が必要なのか、そして、どう生きるべきなのか考えてみるときではないでしょうか。
(海徳寺山務員・本多経宏)
令和2年11月 海徳寺 寺報

