令和3年11月 海徳寺 寺報

令和3年11月号

答えは、奥深くに

世法とは俗世の道理と解されます。私たちはそれを指針とし日々の生き方に答えを出しています。故にそれは往々にして変化し迷いを生む元ともなります。

一方、不変的な道理を示すのが仏法です。その仏法の究極である法華経はこう説きます。

「どんな状況にあろうと今のあなたをすべて受け入れなさい。すると、今あなたが求める答えの上に既に立っていたことに気付くでしょう。それが世法と仏法が合致するところです」

ではどうすれば今の私を受け入れることができるのか?

日蓮聖人は語ります。「南無妙法蓮華経を信じ唱えることが今を受け入れる姿である」と。

出典:日蓮宗新聞社発行『今月の聖語』

世界一幸福度の高いブータン国の物への価値観からは、「豊かさ=物質/欲望」という 式が成り立つといわれます。物質が限られていても、物質への執着という心のあり方を整えることで「欲望」を低く抑えることができ、それによって「精神的な豊かさ」が大きく感じられるというのであります。

では、戦後経済成長を遂げ、物質的に豊かには成った日本の今はどうでしょう?

グローバル化に舵をきり、なんでもかんでも民営化、大手はより大きく成長し、中小企業は潰され、また、地球環境と叫び、脱原発掲げ太陽光発電推進、山林を切り開き、山は禿山となり地盤が緩み土砂災害。

利便性を追求する一方で、自然環境を著しく破壊し後戻りが出来なくなっております。

経済成長という運行を車の運転にたとえると、仏教というブレー キがあるからこそ、安心してスピードが出せるのではないでしょうか。

そして、人間の「社会」は「精神」の産物であり、また一方では「精神」が人間「社会」の産物と言えるのではないでしょうか。

これはコロナに限った事ではありません、世の中で起こっていることに違和感を覚えたら疑って見てください、そして情報を精査し多角的な目を養いよく考えてみてください。そこには、不変的な道理を示す仏法の教えに倣った、真実に辿り着くはずです。

令和3年11月 海徳寺 寺報