令和3年5月 海徳寺 寺報

令和3年5月 海徳寺 寺報

逆境

本書は聖人の四つの手紙を先師が一つにまとめたといわれています。蒙古襲来の気配の中『立正安国論』での諫めを用いない幕府などの有り様を糾し、さらにご自身の度重なる法難の様子を述べ、最後に身延での生活の様子を語られています。

この一節は方人、つまり味方よりもむしろ自分を迫害する強敵こそが信仰を育ててくれる恩人であると説かれています。いかなる苦しみにも屈するなと励まして下さっているのです。

出典:日蓮宗新聞社発行『今月の聖語』

緊急事態宣言が発令されて一年が過ぎ、今や第四波止まる処のないコロナ騒動下のなか、私たちの生活はいまだに不安と未知の危険におびやかされております。しかしそんな中、新しい生活スタイルが模索されております。

先日テレビで、リモートでの家庭教師なるものがやっておりました。移動時間も無く効率がいいという事でありました。

また、人同士の接触を避けるために、テイクアウト専門店が出来たり、無人販売のお店が出来たりと、この現状にどのように対応しようかと柔軟に、今迄では想像も出来なかったような事が仕事として流行りだしたりしております。

法華経の提婆達多品では、お釈迦様の命を何度も狙う悪人の提婆達多は、お釈迦様の過去世の師匠であったという事を強調して説かれており、現世では敵対しているけれどそんな提婆がいたからこそ悟ることが出来たと言われております。

人生は山あり谷ありと申しますように、順風な時ばかりとは限りません、時として大きな壁にブチ当たる時もあります、そんな時にこそ、よく世の中を観察し知恵を絞り出して頂きたいものだと思っております。きっとそこには真実のあるべき姿が映し出されて来ることと思います。

(海徳寺山務員・本多経宏)

令和3年5月 海徳寺 寺報