令和7年3月 海徳寺 寺報

大切なもの

石の中には火はありませんが、打てば火が出ます。

木の中には、花の色も葉の緑もありませんが、時が来れば芽や蕾みが出て花が咲き、やがて実も成ります。

同じように、目には見えないけれど、大切なものが誰にもあります。それは、仏さまのような美しい心です。

それをすぐに信じるのは難しいことですが、自分自身の中にこの心を開こうとしたとき、歩むべき道が照らし出されるのです。

出典:日蓮宗ポータルサイト『今月の聖語』2015年6月号

海徳寺住職加藤智章上人の弟子、李 煥斉(リ カンサイ)です。

梅の花も咲き、花粉症の症状も出始め、いよいよ春の訪れを感じます。
小さい頃に祖母と地元京都で梅の花を観に行ったことを今でも思い出します。

「雪に耐えて梅花麗し」これは西郷隆盛が海外留学する甥に送った漢詩で、メジャーリーグの名門ドジャースとヤンキースでも活躍した、元広島東洋カープの黒田博樹投手の座右の銘としても知られています。

「梅の花は厳しい冬の寒さを耐え忍ぶからこそひときわ美しい花を咲かせる。人間も同じく多くの困難を経験してこそ、大きなことを成し遂げられる」という意味です。

日蓮大聖人は、「法華経を信ずる人は冬のごとし。冬は必ず春となる。いまだ昔よりきかず、みず、冬の秋とかへれる事を。いまだきかず、法華経を信ずる人の凡夫となる事を、」(『妙一尼御前御返事』)と仰っています。

人生の中で「冬」の時期というのは必ず訪れます、それを耐えて(平気な顔をしながら)過ごしている方も多いのではないかと思います。その艱難辛苦はやがて「春」に大きく綺麗な花を咲かせるために必要な糧なのです。

「春」を迎える一助となる、そのような人でありたいと私は思います。

「法華経」はお釈迦様が説かれた最高の教え、そしてその功徳を凝縮したものが「南無妙法蓮華経」のお題目です。

お彼岸は仏道修行の一週間、法華経を受持し、お題目を唱え、先祖の供養及び自身の成仏を目指しましょう。

(海徳寺山務員・李 煥斉)

令和7年3月 海徳寺 寺報