平成26年9月23日(祝)秋分の日に、海徳寺の秋季彼岸会法要を檀信徒の方々とともに行いました。
当日はとても快晴に恵まれ、ご一緒にお経を読み、お題目を唱え、清々しい一日となりました。
住職となって初めての彼岸会法要となりました。当日は日蓮宗の宗務院から配布されている彼岸会のパンフレットを基に、以下の六波羅蜜について簡単にお話いたしました。
布施(人に施しを与えること)持戒(きまりや約束を守り、人に迷惑をかけないこと)精進(つねに努力すること)忍辱(苦しくても耐えること)禅定(心を落ち着かせて自己反省すること)智慧(正しく判断力をもち、物事を正しく見据えること)
このうち、僧侶として大変言いにくいお布施をすることの大切さについてさらに言及いたしました。『お布施?』というとお金での財施をイメージしがちですが、実は誰もが実践できるお布施として顔施があります。
日蓮聖人は、『上野殿御消息』に、
親によき物を與(与)えんと思いてせめてする事なくば 一日に二三度笑て向かえと也
と顔施の大切さを説いております。親孝行しようと何か親に美味しい食べ物を与えたり、良い服を買ってあげたりしたくてもそれが無理な場合は、せめて一日に二・三回笑顔を見せてあげることが大切であるということがこのお言葉の大意となります。
普段親と接していると面と向かって笑顔をすることは照れくさいことではあります。京都で学生生活を送っている時に、お盆の棚経でご自宅に伺うと必ず『たまにはお父さん・お母さんに電話しなさいよ』と言ってくれた老夫婦がおられました。残念ながら、お二人とも既に他界されてしまいました。しかし、今でも日蓮聖人のこのお言葉に触れると、お二人のことを思い出し、そして顔施の大切さを感じます。