令和6年2月 海徳寺 寺報

令和6年2月海徳寺寺報

誰かのために

みんなそれぞれの立場で懸命に生きてます。健康な人であれ、病気の人であれ、本当にそう思います。善をなして悪をなさない人はなおさらです。仕事や家事、育児、介護、勉強、鍛錬…。すべて誰かのためになろうとする善です。
反対に悪とは故意に誰かに迷惑をかけること、また人や生き物などの心身を傷つけることです。それは自分の「生」の価値を下げます。そんなことをしなくても個々に価値は十分にあります。気づかないだけで一生懸命生きている別の側面が必ずあるからです。それがわかれば世の中はどんどん良くなっていくでしょう。
時には自分の存在を空しく思うこともあるでしょう。これを書いている私も同じです。でもやっぱり明日も生きていかなくてはなりません。誰も傷つけず、逆に誰かを助けながら、ともに生きていきましょう。

出典:日蓮宗ポータルサイト『今月の聖語』 2023年2月号

コロナ禍も早四年が経過し、今年の正月は海徳寺にて久しぶりに一同に会しての祈祷会を行いました。祈祷会終了後、皆様と一緒に境内にて会食している時に、スマホの緊急地震速報が一斉に鳴り始めました。そんな矢先の地震で、海徳寺での揺れもかなりでした。

徐々に被害状況が明らかとなりつつあります。倒壊した家屋。焼け野原となった輪島の街。四メートルも隆起した海岸線。テレビを通じて見る被災地の光景に、ただただ唖然とするばかりです。

日蓮宗新聞を通じて、能登半島の日蓮宗寺院も壊滅的な状況であることを知りました。石川県や富山県は浄土真宗の信仰が盛んであることが知られておりますが、能登半島は日蓮宗と大変深いつながりがある地域です。羽咋市には北陸唯一の本山・妙成寺。日蓮宗の熱心な信者であった日本画家・長谷川等伯は七尾市出身。ちなみに、忍者寺で知られる金沢の妙立寺も日蓮宗のお寺です。

被災地の復興のために自分たちができることは限られています。しかし、こんな状況だからこそ、自分のことを忘れ誰かのためにという仏教の「忘己利他」の精神が改めて大切だなと思うようになりました。被災地の方々の笑顔を取り戻せるよう、微力であっても自分達でできることを行っていきましょう。

今回の能登半島地震で被災された方々にお見舞い申し上げるとともに、被災地の方々が一日も早く穏やかな日常生活を取り戻せますことを心よりご祈念申し上げます。

海徳寺住職:加藤智章

令和6年2月 海徳寺 寺報

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