令和6年4月 海徳寺 寺報

人生のアスリート

この世を人は娑婆とも呼びます。語源は梵語の「サハー」に由来し、苦しみを耐え忍ぶ世界ということです。
ところで東京オリンピック・パラリンピック。アスリートたちは出場を目指し今まさに胸突き八丁。様々な思いで日々練習の苦しみに耐え忍んでいます。しかしその忍耐があるからこそ表彰台で光る涙がこぼれ落ちるのではないでしょうか。
苦しみは人を成長に導くエネルギー源です。私たちも人生の表彰台を目指すアスリートなのです。

日蓮宗ポータルサイト『今月の聖語』2020年2月号

皆さんこんにちは!昨年は日蓮宗布教研修所研修員として、お施餓鬼や秋のお彼岸でお世話になりました。渋谷修大と申します。


布教研修所にて講師としてもお世話になった加藤御住職と、布教研修所副主任としてお世話になった山田上人に御縁を頂き、今度は山務員としてお世話になることになりました。
宜しくお願いいたします!


さて、四月といえば新年度の始まる月、新入生に新社会人、社会人であれば人事異動など、新しい生活、新たな出会いに、不安と期待とが入り交じる、そんな季節ですね。
期待通りの生活が始まれば言うことはありません。しかし、中々そうは行かない。
SNS等を覗いてみると、「初日で新入社員が辞めてしまった」そんな投稿が毎年よく話題になります。


「石の上にも三年」と昔の人達は言っていますが、昨今の社会情勢をみるに、辛くても我慢しろとも中々言えない今日この頃。
誰だって苦しい思いはしたくありませんし、思い通りに生きていきたい。でも、果たして全てが上手くいく生活が楽しいのでしょうか。
苦しみがあるからこそ、その中で楽しみが際だっていく。そうすることで人生に濃淡が生まれ、彩り豊かなものになるのではないでしょうか。


仏教では、この世界のことを「忍土」とも言います。苦しみを耐え忍ぶ場所。そもそも上手くいかなくて苦しいのが当たり前なんですね。
まずは、苦しいことが当たり前なんだと受け入れ、耐えてみる。特に新生活が始まったばかりのころはまだまだ慣れないことばかりで上手くいくことの方が珍しいものです。
三年、とは言いませんが、すぐに降りるのではなく、もう少し石の上に居てみたら見えている景色が変わってくるかもしれません。


この思いを胸に、これから頑張って参りますので、皆様どうぞ宜しくお願いいたします。

令和6年4月 海徳寺 寺報