金(きん)と金(かね)
金言とは、広くはお釈迦さまの言葉である経典全体のことですが、なかでも最も純粋なものを示します。その純粋な金言とは、すべての人びとを仏としようとするお釈迦さまの永遠不滅の誓願のことです。 それを「こころみよ」とは、どんなに辛く悲しいことがあったとしても、この誓願を信じきって、身を任せて生きていこうとすることです。このような精神に立ったとき、必ず安穏なる社会が開けてくるのです。
出典:日蓮宗新聞社発行『今月の聖語』
平成二十八年の申年から、平成二十九年の酉年を迎えました。酉年の「酉」とは、「果実などが熟した状態」のことを表し、そこから派生して酉年は「商売繁盛の年」といわれるそうです。
年末の恒例行事となりつつある「今年の漢字」として、昨年は「金」という漢字が選ばれました。「金」という漢字はこれまでもオリンピックが開催された年に二度選ばれており、今回で三度目。昨年はリオオリンピックが開催されたことや、政治にまつわるお金の問題、さらには世界的に流行したPPAPの金色の衣装等が話題となったことがその選定理由でした。
「金」という漢字は読み方によっては、「きん」と「かね」の二通りの読み方ができます。一文字では「金」であっても読み方が違うことで、その意味も大きく異なります。このように考えると、災いが起きやすいという「厄年」も、その受け取り方によっては異なるのではないでしょうか?私自身本厄であった昨年を振り返り、確かに色々なことがありましたが、解釈によってはこの程度の災難で済んでよかったという安堵の気持ちもあります。
「大難は小難、小難は無難」にと転じて、平成二十九年の酉年が皆様にとって良い年となることを心より御祈念いたします。
(海徳寺住職・加藤智章)