平成28年2月 海徳寺 寺報

平成28年2月報恩道語

袖触れ合うも多生の縁

日蓮聖人御遺文『身延山御書』

大地の上に針を立てて、大梵天宮より糸を下して、あやまたず糸を針の穴に入ることは有りとも、我等が人間に生ることはは難し。

(現代語訳)

大地の上に、一本の針を立てて、空の上の大梵天という天の宮殿のところから糸をおろして、間違いなく針の穴に糸を通すことがあるとしても、われわれが人間に生まれることは、それよりも難しいことである。

現代語訳出典:『心が温かくなる日蓮の言葉』大平宏龍著

「袖触れ合うも多生(他生)の縁」という言葉があります。道の行きすがりに袖が触れ合うような些細な偶然であっても、それはただの偶然ではなく、何度も繰り返された過去の世の縁によるものとする仏教思想に由来する言葉です。つい先日、ふとしたことから気がついた御縁がございました。

ソーシャル・ネットワーキングサービスの一つにフェイスブックというものがございます。自身の近況などを記事として投稿するサービスです。但し、基本的には誰もがその投稿を見れるものではなく、学校の友人や職場の同僚等、事前に相手方と連絡を取り承認された方のみが見れます。

先日、テレビ局に勤務する大学の友人から、自身が制作に携わった番組がヤフーニュースの取材を受けたという内容の投稿がありました。するとその翌日に、ジャーナリストをしている高校の同級生から、とあるテレビ局の番組を取材し、ヤフーニュースにその記事が掲載されたする投稿が届きました。「あれ?」と思い両者に確認してみると、フランス・カンヌの国際見本市でたまたま知りあったことがきっかけだったそうです。そして二人に自身との関係を説明すると、「不思議な御縁だな・・・」と驚いておりました。些細な出来事ではありますが、目に見えない仏縁を大切にしなければと感じた出来事でした。

              (海徳寺住職・加藤智章)

平成28年2月報恩道語

寺報
寺報