厄、転じて幸いとなる
親孝行したい時分に親はなし。この諺は、親がまだ生きているうちに親孝行をするべきだという教訓です。私たちは、どうしても孝行を先延ばしにしがちですが、日頃から親への感謝を忘れず、親孝行を積み重ねることが大切と教えています。
出典:日蓮宗ポータルサイト『今月の聖語』 2025年4月号
本来、僧侶は両親のもとを離れて出家するものなので、親不孝な行為かもしれません。
しかし仏さまの教えは、もっと内容が深く、「孝」よりもさらに高いものが「恩」だというのです。自分だけが救われるのではなく、他人をも救うことが大切だと言われるのです。人間は自分を導いてくれた先生や仏さまの恩、国や自然にまでもに感謝しながら日々生きていくことが大切だと説いているのです。
そして私たちは親がいなくなっても年忌法要という形で親孝行を続けることができるのです。
今年の3月に野球のWBC(ワールドベースボールクラシック)が話題となりました。残念ながら日本は準々決勝にて敗退しましたが、大谷選手が名実ともに令和のスーパースターであることを証明する大会でした。
このWBCの試合途中で、大谷選手と長嶋茂雄さんが一緒に共演しているCMを何度か目にしました。私自身は長嶋さんは選手というよりも監督の印象が強いのですが、その豪快なプレースタイルと個性的なキャラクターで多くの人々に元気を与えた昭和のスーパースターが長嶋さんでしょう。
昨年の6月に長嶋さんがお亡くなりになり、その葬儀の弔辞を行ったのが愛弟子の松井秀喜さんでした。そもそも阪神の大ファンだった松井さんですが、ドラフトのくじを引き当てたのが長嶋監督。そこから来る日も来る日も素振りを続ける日々が始まりました。この素振りの日々は、長嶋さんが監督を辞任する日も当然のように行われ、松井さんはこれが最後の素振りだと思って涙が止まらなかったそうです。しかし、二人の素振りは翌日も、また翌年もずっと続き、自分は長嶋茂雄から逃げることができないと。なぜ監督が自分にこれまで愛情を注いでくれたのか、その答えをこれから自問自答して探していきたいと述べて弔辞を締めくくりました。
この弔辞から思い出したことが、先代・加藤貴啓住職とのやりとりです。亡くなる直前に最後に会話をしたのが私でした。まさかその時が最後になるとは思いもしませんでしたが、今年の6月で十三回忌を迎えます。これからも最後に交わした言葉の意味を自問自答していきたいと思います。
海徳寺住職:加藤智章
令和8年5月 海徳寺 寺報


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