令和元年10月 海徳寺 寺報

プラス思考

昔ある村に「三年峠」と呼ばれ恐れられた峠がありました。そこで転んだら三年しか生きられないというので、みんな注意して歩きました。

ところがある男が転んでしまったのです。「俺はもう三年しか生きられない」と嘆き悲しみました。

そこへ別の男が現れ「もう一度峠へ行って、今度は十遍でも二十遍でも転べばいい」と言いました。「逆に考えれば一遍転べば三年は確実に生きられるということ。それなら転ぶほどその分長生きできるぞ」。

物事は受け取り方次第です。ピンチの裏には同じ量のチャンスが用意されているものです…。

出典:日蓮宗新聞社発行『今月の聖語』

先月、有縁の僧侶の方々と七面山に登りました。昨年は台風が直撃した為に登ることができませんでしたが、今回は天候にも恵まれて無事登ることができました。

山頂のお寺・七面山敬慎院までは五十町の道のりです。途中に休憩所が設けられており、ところどころで休憩しながらの道中です。昨年の台風の影響が色濃く残っており、一年経った今でも倒木が道を塞いだままで、その台風被害の大きさを如実に物語っておりました。

そして、七面山から戻ってきてまもなく、今年の台風十五号が千葉に直撃いたしました。当初、JR津田沼駅での長蛇の列がテレビで映し出され、被害は一時的に交通機関が混乱した程度かと思っておりました。しかし、時間が立つにつれて、千葉県南部では停電や断水が何日間も続くという壊滅的な状況になっていることを知り、自然災害の怖さを改めて痛感いたしました。

千葉県の中でも特に南部には日蓮宗の寺院が多数あります。被害状況はまだはっきりとしておりませんが、甚大なる被害を受けていることは間違いありません。そのような状況で、「プラス思考」になることは難しいとは思いますが、徐々にではあっても少しずつ前に進み、一刻でも早く復興することを切に願っております。

(海徳寺住職・加藤智章)

令和元年10月 海徳寺 寺報