平成29年6月 海徳寺 寺報

駿馬にも鞭うつの理これあり

運動会を通じて

優れた才能も、努力しなければ、枯れてしまいます。また、才能だけに頼っていては、行き詰まることもあります。そんな時の周囲の励ましは、あなたへの期待のあらわれです。柔和に受け止め、自分のものにすれば、才能が磨かれ、花が咲いていきます。この花はたとえ小さくとも、周りの人を幸せにします。自分のためにだけではなく、他者のためにも、精進を怠らないようにしましょう。

出典:日蓮宗新聞社発行『今月の聖語』

先日、小学校に通う子供の家庭訪問があり、担任の先生から『リレーの選手に選ばれていますよ』と言われました。夫婦共々『あれ、うちの子が?』と首を傾げました。蛙の子は蛙。両親とも決して足が速いわけではありません。これまでの運動会では、参加することに意義があると、順位を気にしたことはありません。

運動会当日、本当にリレーの選手なのか確かめてみますと、間違えなく我が子がリレー選手の鉢巻を巻いて走っておりました。ただその場で分かったことがありました。急に足が速くなったというわけではありません。クラスの男子が七人しかいなく、そのうち四名がリレーの選手。だからリレーの選手に選ばれたのだと。

しかし、嬉しい誤算がありました。本人にリレー選手に選ばれたという自信が生まれ、加えて、他人に負けたくないという競争心も芽生え始めたようです。速く走るためにはどうしたらいいのか質問するようになり、その為の練習を始めるようになりました。

そのような子供の姿をみつつ、我が身にも覚えが。最近では、イオン等の僧侶派遣サービスが物議を醸し、従来までのお寺の形態とは異なる新たな流れを看過せずにはいられません。また、どうしても一人よがりになりがちなお寺の仕事。他のお坊さんに海徳寺のお手伝いしていただきながらも、実は色々と教えてもらい刺激を受けております。運動会を通じて競争することの大切さを改めて考えております。

(海徳寺住職・加藤智章)

平成29年6月 海徳寺 寺報