令和2年5月 海徳寺 寺報

仏法を学せん法は必ず先づ時をならうべし

出会い

「もっと早く知っていれば」「もっと早く出会っていれば」と、後悔の言葉を口にしたことはありませんか。

でも、ちょっと振り返ってみて下さい。それぞれの流れの中で、その時はその時の精一杯の過ごし方をしていたのではないでしょうか。今だからこそ、この出会いが巡って来たのです。言い換えれば、出会うべき時に出会うべきことに出会っているのです。

そんな人生の見方もあることを知っていただきたいのです。

出典:日蓮宗新聞社発行『今月の聖語』

 新型コロナウイルスの猛威が未だ衰えることなく、数ヶ月が経過いたしました。事態は悪化の傾向をたどり、緊急事態宣言がさらに延長される見込みのようです。
 そのような中、このところ「アマビエ」なる絵を頻繁に目にするようになりました。最初は「アマエビ(甘海老)」かと思っておりましたが、確かめてみると「アマエビ」ではなく「アマビエ」。
 アマビエは、江戸時代末期に熊本県の海に現れ、豊作や疫病などを予言したといわれる半人半魚の妖怪だそうです。「疫病が流行した時には、その姿を描き、人々に見せよ」との言い伝えから、新型コロナウイルスの早期退散を願うことが、この絵が描かれる背景にあることを知りました。
 このアマビエの話を聞いてふと連想したことが、東大寺の大仏です。奈良時代に疫病や自然災害が頻繁に起こり、そのような社会的な時代背景から、東大寺の大仏が建立されたのだと。 
 近年では医学が発達し、疫病の心配は減りましたが、今回の新型コロナウイルスの大流行を踏まえると、現代であっても疫病とは無縁ではなく、社会全体が協力して行動することが求められています。
 現在、海徳寺においても、感染拡大防止の為、密閉・密集・密接の「三密」を回避するよう努めております。「アマビエ」と「アマエビ」、「三密」と「壇蜜」がよく似ていたと笑って言えように、事態が沈静化することを早く願っています。

(海徳寺住職・加藤智章)

令和2年5月 海徳寺 寺報

令和2年5月海徳寺寺報
令和2年5月海徳寺寺報